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ー 生活の中の耳鼻咽喉科ミニ知識 ー

1)耳に水が入ったときは

ミニ知識

プールや海などで耳に水が入ったとき、つまった感じが気持ちが悪いので綿棒で外耳道を擦りすぎてしまいがちです。このために外耳炎を起こす患者さんがよく見られます。病気の無い耳であれば水が耳の中に入っても害はありません。
まず水の入った耳を下に向けたままトントン飛び跳ねてみるか、その耳の上の側頭部を軽く何度か叩いてみましょう。これで出てこなければ自宅に戻ってから仰向けに寝て、細めの綿棒を外耳道(耳の穴)の後ろの壁に沿わせてゆっくりそっと入れてみてください。毛細管現象で水が綿棒にしみこんで出てきます。
これでなお水が残っていても翌朝までには蒸発してしまうことが多いものです。それでもだめな時は水が耳垢に浸み込んでいたり、他の病気が見つかることもありますので耳鼻咽喉科を受診なさってください。


2)耳垢(みみあか)を取るときの注意点

耳垢には乾燥したカサブタ状または粉状のものと、軟らかなべとべとのタイプがあり、また長さ約3cmの耳の穴(外耳道)の形もストレートに近い人とゆるいS字に曲がっている人がいますので、すべての人に共通でベストの耳垢を取る方法というものはありません。そこで失敗をしにくい耳垢のとり方を述べておきます。
耳かきなどで外耳道を擦りすぎると傷をつけて外耳炎になってしまう人がよくみられます。耳かきを使用するときは周りの人に当たられることが無いように注意し、なるべく壁を擦らないようそっと耳の中に挿入します。耳の入り口の前側にある出っ張り(耳珠)から1.5cmを超えて入れないほうが安心です。耳かきの先を外耳道の壁に沿わせてそっと曳いてくるのがよいでしょう。これを外耳道の上、下、前、後と万遍なく力をかけずに行います。入浴後の耳の中が湿った状態で行うとよいと思います。耳かきを使用すると外耳道にわずかな「かすり傷」ができますが、これを繰り返すと傷がやや深くなり、細菌が入って外耳炎になって行きますから週に2回位までにした方がよいでしょう。

綿棒を使用する場合も入浴後がお勧めです。特に乾燥した耳垢の人は湿った状態のほうが綿棒に付着しやすくなると思います。綿棒はなるべく細いもの(乳児用など)を選んで、挿入するときには壁を擦らないようにすることが、手前にある耳垢を奥に押し込まないコツです。軟らかい耳垢の方は、綿棒を奥から外耳道の壁に沿わせて後→上→前→下と 回しながらゆっくり抜いてくると効果的でしょう。

最近テレビの番組で大学病院の教授を務めた耳鼻咽喉科の先生方が「私は自分の耳垢をとりません」と発言されたり「耳垢は取る必要は無い」とおっしゃる先生もいらしたようです。確かに私も白い粉状の耳垢を持つ体質の方はほとんど耳垢をとらなくても耳垢が自然に外に出てくれるため全く問題が起きないと思っております。しかし毎日多くの患者様を診るクリニックの耳鼻咽喉科医は、「ベトベトの軟性耳垢を1年以上放っておいたために耳の穴が耳垢で狭くなり、違和感を感じて耳かきを入れた後に急に聞こえが悪くなった」とか、「耳に水が入った後に耳垢がふやけて大きくなることでまったく聞こえなくなった」などの例を時々経験しております。また耳の入り口に茶色の耳垢がべっとりと付着しているお子様なども時々見受けられますが、あまり清潔な印象ではありません。耳垢の性質に応じた対応をしておいた方が良いと考えます。黄白色のガサガサの耳垢の方もあまり溜まりすぎると同様なトラブルが起きることがあり、また耳垢の一部が鼓膜の上に乗ってしまって不快な音がすることもあります。耳の違和感がある場合、お近くの耳鼻咽喉科を受診し、耳垢の性質に合った対応の仕方をご相談ください。


3)子供の耳垢を取ってあげるには

耳鼻咽喉科の外来ではお母様方から子供の耳垢の取り方についてよく質問を受けます。子供の耳の穴(外耳道)は小さくて中が見えず、思わぬ動きをされることもあるため大変危険です。子供の頭をひざに乗せたり抱っこしたりして落ち着かせることが必要です。回りに気になるものがあると急に動くことがあるので気をつけましょう。

耳を後方に引っ張ると外耳道がまっすぐになり天井の光が比較的奥まで入りやすくなります。この状態で比較的浅い場所にはっきり見える耳垢は耳かきで引っ掛けてとれる可能性があります。入浴後の湿った状態や、茶色の軟らかい耳垢なら細い綿棒でふき取ることも可能でしょう。よく見えない耳垢や奥のほうにあって簡単に取れないものを無理して取ろうとするのは危険です。またお子さまによっては特に外耳道が細い場合があり、耳鼻咽喉科で定期的に耳垢を取る必要のある場合もあります。また耳垢を取りそこねて鼓膜の上に落してしまうこともあり得ます。
いずれにしても耳垢が簡単に取れない場合は無理をせず耳鼻咽喉科で万全の体制で取ってもらってください。


4)鼻血(鼻出血)が出たときには

鼻出血は鼻の中の血管が切れることで起こります。大多数は鼻の入り口から2cm以内の血管が原因です。したがって親指と人差し指で小鼻の部分をつまんで5分くらい圧迫することにより止められることが多いものです。この場合横にならず、座って下を向いていることが大切です。鼻を心臓より高い位置に保つことで鼻の血流をなるべく少なくし、のどに血液が流れて吐き気が出るのを防ぐためです。ティッシュペーパーなどを鼻につめる場合も小鼻の圧迫は必要になります。頻繁にティッシュを取り替えると本来の血液の固まる作用を妨げることになり逆効果になるかもしれません。

また鼻をいじることが多いお子さまや、鼻のかみ方が適当でない場合は血管の傷が治りにくく頻繁に出ることになります。お年寄りや血圧の高い方では鼻の奥のほうの血管が切れている場合もあります。その他の鼻の病気で鼻出血が出やすくなっていることもありますので、上に述べた方法で止まりくい場合は詳しい検査が必要になります。


5)口腔アレルギー症候群

口腔アレルギー症候群はフルーツ、野菜、大豆などを食べることにより口の中や唇に痒み、腫れ、痛みを感じるもので、各種の花粉症との関係があります。花粉症を起こすある種の花粉には各種のフルーツ・野菜や大豆と似た構造の蛋白質を持つものがあります。花粉症のある患者様がその花粉の持つアレルギー原因蛋白(アレルゲン)と似た蛋白質を持つフルーツ・野菜や大豆を食べることにより交差反応と言われるアレルギー反応が出ることがこの病気のメカニズムです。多くは食べた後5~15分で口や唇、のどの症状が出て時間の経過とともに消失しますが、時には血圧低下や意識を失うなどのアナフィラキシーショックを起こすこともあります。

1月から3月に花粉が多く飛ぶハンノキの花粉症を持っている方はバラ科の果物(リンゴ、モモ、サクランボなど)や大豆(主に豆乳)を食べると口腔アレルギーの症状が出やすく、5月から夏に花粉症を起こすイネ科花粉(カモガヤ、オオアワガエリ)の場合はウリ科の果物(メロン、スイカなど)で、また秋に花粉症を起こすキク科花粉(ブタクサ、ヨモギ)ではせり科野菜などで症状が出やすいとされております。口腔アレルギー症候群と診断された方は特に花粉症の症状が出る時期に重症のアレルギー症状が起きやすいとされておりますので、その時期には対象となるフルーツ・野菜や豆乳などを口にしないよう注意が必要です。

口腔アレルギー症候群と似たものにラテックス・フルーツ症候群があります。ゴムの手袋をすると手が痒くなる方は、キウイフルーツ、アボカド、バナナ、パイナップル、栗などを食べると口腔内の違和感や蕁麻疹などのアレルギー症状が出ることがあります。まれに体調によってはアナフィラキシーを起こすこともありますのでこれも要注意です。

ー レーザー治療 ー

レーザー治療

鼻粘膜へのレーザー照射治療は、安全で効果のあるアレルギー性鼻炎(花粉症)の治療法です。
保険診療で受けられ、局所麻酔を行うことにより痛みも心配ありません。特に鼻づまりについては当院においては90%以上の方に確実な効果が出ております。鼻水やくしゃみにも効き目があり、鼻づまりほどてきめんとは言えませんが、内服などの治療と併用することにより多くの患者様に満足頂ける効果が出ております。当院では次のような方にレーザー治療をお奨めしております。

花粉症の方で、症状の種類や程度、体質を考慮して選んだ抗アレルギー剤を使用しても十分に症状を抑えきれなかった方。レーザー治療を行うことによりアレルギー症状を軽減でき、抗アレルギー剤の効果が良好となります。

・ 花粉症の方で、2種類の抗アレルギー剤を併用することにより何とか症状を抑えることが出来た方またはそれでも不十分だった方。レーザー治療により症状を抑えやすくなります。

・ 花粉症の方で、抗アレルギー剤を服用しても鼻づまりだけが十分にはとれなかった方。レーザー治療を行うことにより90%以上の患者様に確実な効果があります。

・ 通年性のアレルギーや慢性鼻炎のために、一年中鼻がつまりがちの方。レーザー治療によりお薬を使う期間が少なくなり、またお薬を必要としない状態になる方も多くいらっしゃいます。

・ 症状が強いにもかかわらず、他の疾患の治療中であるため、妊娠、授乳中のため、また薬による眠気などの副作用が出るなどのために有効な抗アレルギー剤の服用が出来ない方。

当院のアレルギー性鼻炎に対するレーザー治療については、レーザーがアレルギー性鼻炎に応用され始めた初期の頃から、当院院長が順天堂大学教育関連病院において取り入れていたものであり、2000例の症例数と実績から安心して受けていただける治療法です。予約で行うことになりますが、レーザー以外の治療法を選択したほうが良い場合もありますので医師の診察の上予約をお取り頂きます。治療法の実際などについては別紙が準備してありますのでお申し付け下さい。

ー 舌下免疫療法について ー

舌下免疫療法は長期にわたりアレルギー性鼻炎の症状を抑える可能性があり、アレルギーの原因に対して反応しにくい体質にするという理論的に優れた治療法です。現在スギ花粉とダニ(ハウスダストの主成分)について保険診療が適応になっております。画期的な治療法ではありますが実際に患者様が治療を続けていくためにはかなりの根気が必要であり、わずかながら重篤な副作用の可能性もあるため、安易に始めることは出来ません。治療を開始しますと、症状のないときでも毎日シダキュア又はミティキュアという錠剤を舌の下に1分間保持する治療を3年以上継続しなければなりません。途中脱落は効果が期待出来ません。少なくとも1か月に1回の受診が必要です。最近のスギ花粉症に対する舌下免疫療法についての研究報告では治療開始後3年目に花粉症の薬を必要としなくなった著効例が15%、薬は必要ではあるものの確実な効果が見られた有効例が60%、全くの無効例は10%のみという結果で、有効以上が75%と大変有効性の高い治療法であることが実証されております。ダニアレルギーの舌下免疫療法についてもこれに近い有効性が期待できます。十分な効果が出た場合でもやがて効果が薄れることもあり、舌下免疫療法を再開する必要が出てくる場合もあるようです。またこれらのお薬はアレルギー原因物質を希釈したものであるため、時にはアナフィラキシーショックなどの重篤なアレルギー反応が出るリスクがあります。また喘息発作の起こる方、強いアトピー性皮膚炎や口腔アレルギー、心臓疾患、肺疾患、免疫疾患、高血圧のある方、高齢者の方は副作用が重篤になりやすく、副作用が出た場合の治療が困難であるなどの理由で舌下免疫療法は行えません。

このように舌下免疫療法はすべての患者様に行える治療法ではありません。しかし多くのアレルギー性鼻炎の患者様については、医師がその方の症状の種類や程度に応じた内服薬の組み合わせと点鼻薬を選択し、症状の強い時のための頓服薬と共に処方することで日常生活に支障のない程度にまで改善出来るものです(現在、抗アレルギー剤は様々な特徴を持った十数種類の製剤があり、患者様ごとに最も相応しいお薬を選択可能です)。適当な内服薬、点鼻薬を選択しても効果が不十分であった方や、投薬を止めるとすぐに症状が戻ってしまう患者様などについては、アレルギー性鼻炎のためのレーザー治療という方法があります。レーザー治療は鼻の中の腫れをひかせる効果が優れており、鼻づまりに対する有効性は90%以上です。鼻水、くしゃみ、痒みにもかなりの効果があり、内服薬と併用することでこれらの症状も著しく軽減し、薬の服用を暫く休むことが出来る方も多数おられます。しかし根本的にアレルギー症状の起きにくい体質を維持できる可能性があるのは、やはり舌下免疫療法です。上記の内容をご理解の上ご検討いただき、ご希望の患者様は医師にお伝えください。

都筑耳鼻咽喉科クリニック資料サイト参照

都筑耳鼻咽喉科クリニック

所在地 横浜市都筑区牛久保1-2-9 メディコーポ都筑102
駐車場 ビルの正面と裏を合わせて18台あり
休診日 木曜・日曜・祝日
最寄駅 横浜市営地下鉄グリーンライン
「北山田駅」徒歩10分
最寄バス停 「北山田小学校入口」下車1分
「すみれが丘」下車3分

診療受付時間

受付時間 午前の診察受付 午後の診察受付
月、火、水、金曜日 9:45~12:30 15:15~18:00
土曜日 9:45~12:30 14:15~17:00

休診日木・日・祝日


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